[ STE Relay Column : Narratives 168]
後藤 俊「『動く』を選択しろ。人生を豊かにすごせ。」

後藤 俊 / 早稲田大学大学院 経営管理研究科

[プロフィール]宮城県仙台市出身。スキー場が近く、大学でスノーボードに明け暮れる。今の趣味はランニング。宮城県仙台第一高等学校を卒業後、東北大学 工学部及び東北大学大学院 環境科学研究科に進学。大学では、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー及び電気化学の研究に携わる。2008年に富士フイルム株式会社に入社。入社後、フラットパネルディスプレイの生産技術開発に携わり、その後、社内のバイオテクノロジーの分野研究開発部門に異動する。iPS細胞及びiPS細胞から作製される(分化誘導される)細胞の生産技術及び製品化を経験する。その後、薬の開発製造受託事業に関する技術の研究開発と、バイオテクノロジーを用いた新規製品の創出に携わる。2021年4月に夜間主総合に入学。

 授業が終了して、3週間程が経ちます。それでも鮮明に覚えている、テクノロジーのシャワーを浴びる日々。ビジネススクールに来て、こんなにテクノロジーの情報をインプットされ、消化不良にならないように必死に、情報を食いつくす機会があるとは想像していませんでした。牧先生らのリコメンドなので、情報は飽和すると思っていましたが、想像以上でした。
 しかし、決して悪い意味ではありません。講師の高須先生が深圳に関わる選りすぐりのスター達を集めて行われた、質の高い講義は、日本の特に大企業では感じる事が出来ない世界のスピード感を体感出来ます。正直、伝統的日本の大企業のスピードの遅さには、苛立ちすら感じます。この講義は、半導体を中心とした技術の話や深圳のバーチャルツアー、等、面白い事は沢山ありました(特に、深圳の博物館バーチャルツアーは、日本でココだけでだけしか体験できない、すごく貴重)。
 講義が終わり、改めて授業を振り返った時、最も考えさせられたのは、

    「自分は動くか、否か」と問いかけた時、「動く」ことを第一選択肢として挙げられているか?

という事でした。「動く」ことが全て正解ではないので、「動かない」選択を採る事も立派な戦略でだと思います。しかし、本当は「動く」ことが、メンド―、怖い、等の理由で「動かない」事を選択している事があまりにも多いのでは、と考えさせられました。それぐらい、この授業でご講演戴いた講師の方々は多くの「動く」を選択して、そして現在に至る方々ばかりでした。私は大企業の中で働いていて、「動く」という選択肢の機会をどれだけ見過ごしていたか、考えさせられていました。

 全ての講義が素晴らしいものでしたが、中で私が最も動かされた2人の講義を紹介いたします。
【①いのうちさん】
 いのうちさんは、誰しもが知っている大企業にお勤めであり、その中で新規事業創出に向けて、日々奮闘されていらっしゃいます。大企業の中で新規事業に挑戦している方なら誰しもが、一度は経験したことがある壁に何度もぶち当たっています。ピンチの時には(少なくとも授業の中では)冷静に対応し、飛躍の機会には、見事チャンスを勝ち取り、現在の活動につながっている稀な方だと思います。いのうちさんからは、大企業で新規事業に取り組む仲間と勝手に妄想し、非常に親近感を覚えると共に、いのうちさんの先行例が私にとっての轍(わだち)になったと思います。いのうちさんの取り組みに感銘を受け、講義の翌日に社内の新規事業に取り組む仲間へいのうちさんの活動を共有し、具体策を練り、社内でどのようにして取り組むことが出来るか検討を始めました。

【②武村さん】
 某地方の銀行員であるはずの武村さん。なぜ、あんなに楽しそうに、かつアクティブなのでしょうか?授業中、友達と武村さん、すごいねー。面白いねー。とやり取りを交わし、一気に武村さんの虜になりました。
 時間が経過し、落ち着いて武村さんに心を打たれ理由を、私なりに考えてみました。やはり、好きな事を楽しそうに行っている人は魅力的なんだと思います。好きな事を行うために、知らない集団に飛び込んでみたり、子どもの集団に入りはんだを付けたり、その一生懸命さに心を打たれていたのだと思います。大げさではなく、人生を豊かに過ごす秘訣が隠れていたと思います。別の授業で、深圳のルーツは「make the people rich」と聞きましたが、武村さんは「make the life rich」を体現されていると私は感じました。そこにとても私は惹かれたと思います。
 では、私自身はどうか?言うまでも無く、自分の人生を楽しむには、まだまだ不十分かと思います。私も、「make the life rich」を目指し、動いてみたいと思いました。
 武村さんの活動の原動力になっている「world is flat」という言葉、とても素敵な体験だと思います。特に、今、世界で起こってしまっている悲しい出来事を思えば、より一層「world is flat」は大切な言葉だと感じています。いちビジネスマンとして「make the world rich」を意識し、目指してワークを進めたいと思います。

 極論をいうと、私は「動く」という選択肢を見過ごしていないか?人生を楽しんでいるのか?この、2つの疑問を持てた事が私の最大のtake awayでした。ビジネススクールに飛び込み、この面白い授業に出会えたのは、「動く」を選んだ結果です。素晴らしい、人との出会いも沢山ありました。
 より豊かな人生を過ごす為、「動く」の機会を逃さないように、生きて行きたいと思います。

 最後になりますが、本講義をご担当された高須先生を含むとても素敵な講師の方々には、とても感謝をしております。ありがとうございます。また、授業を円滑に進めて戴いたTAの武田さんにも、併せてお礼申し上げます。また、一緒に授業を盛り上げて戴いた受講生の皆様にも感謝しております。ありがとうございました。


次回の更新は4月8日(金)に行います。