河合隆史 / 早稲田大学 基幹理工学部 表現工学科 教授
伴地芳啓 / 早稲田大学 理工学術院 総合研究所 客員講師
私の専門は人間工学という学問であり、社会で役立つ実践科学という点に特徴があります。つまり、「実学」を大切にしているので、研究成果が、いかに世の中の役に立ったかという点を重視しています。換言すれば、研究成果の社会実装は、論文発表と同じくらい価値があると考えています。そのため、常に研究成果が技術シーズや知財となり、どのような形で活用されたかという点が、アウトカムとして大きい部分を占めています。私自身、研究成果の社会還元に取り組んでおり、時には事業化に直接携わる活動も行っています。
このような考えや経験を通して、特にWBSの学生に期待したいのは、研究者が思ってもみなかったような技術シーズの使い方とビジネスモデルの提案です。大学の技術や知見に対して、学生が興味を持って世の中に問いかけていく取り組みに、大きな可能性を感じています。常々このような取り組みが出来ないかと考えていたので、Lab to Marketについては全面的に賛同しています。むしろ私の考えていたことが、最初は盗まれたのではないかというくらい(笑)、非常に素晴らしいアイディアだなと思い、講義に参加させていただきました。
クォーター制の授業でしたので、短い期間で技術シーズの理解やビジネス化を検討するのは、学生側も色々な苦労が多かったと思います。ただ、その苦労に見合うだけの価値が、このLab to Marketにあると思っています。
私自身、今後もLab to Marketの取り組みに関わっていきたいですし、参加される学生のみなさんのアウトプットに、本当に期待しています。
(河合)
僕自身が研究者として対外的に研究成果を発表するとなると、やはり論文だったり、学会だったりします。そのため、分野の近い研究者からフィードバックを得る機会は多いですが、分野が全く異なる人たちからのフィードバックを得る機会は非常に貴重だと感じています。
異なる分野の方が僕の研究をどのように見ているのか、フィードバックを得ることで、自分ではなかなか見えない部分を発見できることがあります。Lab to Marketに参加することで、技術シーズについて前提知識のないWBSの学生が、それらをどういう風に活用すべきか、熱心に検討してくれます。これは、研究者の視点とは異なる発想を得られる機会であり、僕らが想定しない視点から技術や知見を捉えてくれるのはありがたいと思っています。
学生のアウトプットは、今後の研究の方向性を考えるうえで有用です。Lab to Marketを通じて、WBSの学生の方と自身の技術シーズについて議論できる場があるというの、研究者にとってもメリットが大きいと思います。
(伴地)
次回の更新は12月3日(金)に行います。