瀬戸口 長利/早稲田大学 経営管理研究科/シンバイオ製薬
はじめに
2020年秋Q、技術・オペレーションのマネジメント【TOM】を、牧さんから講義してもらったことは、我ながらナイスだったと思っています。
奇しくも入学した今年度は、COVID-19の影響を受け、ほとんどの授業がzoomなどのオンライン授業になってしまいました。そんなタイミングで、牧さんに出会えたことは本当にラッキーでした。なぜなら牧さんは技術・オペレーションのマネジメントのスペシャリストとして最高の講義を作り上げてくれたからです。どういうことかと言うと、今回、ほとんど経験のないzoom形式の講義に関して、牧さんは、最大限の価値を発揮すべく、様々な工夫・演出を凝らし、新しい取り組みを学生に示してくれました。それは、私に、どんな時でも環境に応じ、自らを変えて、学びを発展させることの大切さを教えてくれました。
ネガティブに捉えられていることが、見る角度と考え方によって、実は自分を成長させる良い機会にもなるのだと実感させてもらった、この講義を、いつまでも忘れずにいようと思っています。
牧さんとの出会い
牧さんとは、TOMの講義で初めて関わることができたのですが、実はその少し前に、お見受けする機会がありました。それは夏Qが終了した後、夏季休業中に開催された「WBS熱く語る会」の中で、牧さんの動画インタビューを見た時でした。お名前は、もちろん伺っていて、早稲田大学ビジネススクール(WBS)の専任教員の中で最も若い先生であることは知っていましたが、まさか、こんなにもパッションと覚悟を感じさせる先生だったとはと驚きました。そのインタビューの中で、牧さんが「学生は、初心に立ち返ることも大事だが、一方で、WBSはとても刺激的なので、入学した理由が変わった方がむしろ良いと思っている。それは視野が広がった証で良いことである。変わることを恐れずに挑戦してほしい。」とおしゃっていました。学びを重ねていくほど、キャリアや将来がどんどん変わっていくことに不安を感じていた自分にとっては、本当に元気付けられた言葉で、勇気とエネルギーをいただきました。
TOMを取るに当たって
私は製薬会社に所属しており、広い意味で「科学・技術」に関わる仕事に携わっているということで、選択必修であるこの講義を受講しました。何より牧さんの講義であることと、昨年の2019年度秋学期ティーチング・アワード(総長賞)を受賞されていることに興味を惹かれました。
TOMの論理的構成の凄さとインパクト
まず、講義のデザインが非常に秀逸であると感じました。講義全体の流れが一見バラバラのように見えるのですが、実は緻密に計算されており、講義の中に次回以降への伏線をいくつも散りばめている構成となっていました。内容は、事実上「イノベーションのマネジメント」に関するものとなっており、どのようにイノベーションを生み出していけば良いか様々な観点で学んでいきました。また、抽象と具体、人間とAI、ビジネスと規制、イノベーションと手書きの絵など一見相反ように見えるけど関係のある事象を同時に考えることが幾度となく求められて、毎回、思考を大きく揺さぶられました。いつも、思考の振れ幅が大きく且つスピードが早いので、シートベルトのないジェットコースターに乗っているみたいです。講義終了後は頭がぐちゃぐちゃになっていましたが、事後学習資料を確認することと次回講義までに学んだことをどこかで活かすことが課題になっていたおかげで、だいぶ学びの整理と定着ができたと思っています。
牧さん自身が、パワフルなパッションを講義で発揮していたことも、我々学生が集中力を途切れさせず、ついていけた大きな要因だったと思います。また、講義を学生と共に作りあげるという強いこだわりも持っていて、一人一人の経験や知識をリスペクトしているからこそ、学生の発言をすごく大事にされていました。
TOMを自分の活動に取り込む
私は、夏Qのソーシャルイノベーションで知り合って結成したチーム(あいプロジェクト)で活動を継続しています。他のメンバーは、三木崇弘さん、辻紗都子さん、田中裕樹さんの3人で、皆さん各分野で活躍されている優秀な方達です。4人とも共通の理念を持ってチームとして団結していますが、解決されていない社会課題に対し、どのような活動を展開していくのかなかなか答えが定まらず、日々ディスカッションを繰り返しています。そんな中、TOMは、何かしらの考え方のヒントを与えてくれるような気がしています。幸いにして、三木崇弘さんと辻紗都子さんも同じMOTを受講していて、講義での様々な学びを、チーム内での共通言語として使うこともできます。私は、特に3Mの事例で取り上げられていた、新しいサービスを創出する際に、尖った(極端な)ユーザを見つけて、深掘りしていく「リード・ユーザ・リサーチ」の活用が有効な手段の一つではないかと思っています。他にも素晴らしいフレームワークや考え方、手法が多く学べたので、今後、色々試行錯誤しながら試していくのも非常に楽しみです。
この講義を終えてからのコミュニティ
この講義の関わり方は、発言、質問、フィードバック、事前レポート、事後レポート、slack等々、多種多様で、それぞれがいろんな角度から授業貢献をされていました。そして、それが、いつの間にか知らない間に一種の一体感のようなものを醸成していて、講義を終了した後も、初めての方とお話しやすい環境になっていました。今後もこのコミュニティを継続、拡大させて行きたいと考えています。
最後になりますが、私たちの学びのサポートや支援をしてくださった、TAの下平哲大さん、田村栄人さん、過去履修の先輩方、大物ゲストの方々、共に学んだ学生に、心より感謝申し上げたいと思います。
そして、牧さんに、このような機会をいただき、改めて学びを振り返ることができました。どうもありがとうございました。
次回の更新は1月22日(金)に行います。