[ STE Relay Column : Narratives 061]
大塚 怜奈 「スタディツアー2019 Spring 〜深圳探訪:ゼミ仲間と見た深圳〜」

大塚 怜奈 / 早稲田大学大学院経営管理研究科 / IT企業勤務

[プロフィール] IT企業の農業事業部の事業企画グループおよび開発部に所属。日本の農業ビジネスをITを使ってよりよくするために日夜試行錯誤中。
科学修士。2018年より早稲田ビジネススクールに在籍。2019年より牧ゼミに所属。
世の中のためになりつつ、儲けたい。

2018年、“深圳の街がすごいらしい。”
そんな話をネットニュースや、知り合いから聞くことがあった。
しかし、周りに深圳に行ったことある人もおらず、なんとなく気になる街として、頭の片隅にある、深圳は、そんな存在であった。

そんな中で出会ったのが、
深圳へのスタディツアーと深圳のエコシステムに関する集中講義。
迷わず参加に手をあげた。

2019年2月.深圳のエコシステムに関する集中講義。
早稲田ビジネススクールで受講した授業の中でも、トップクラスの印象に残った講義であった。
講師の高須先生は、現在深圳を拠点にして活動されている。
高須先生からの講義は、とてもインタラクティブで、理解度に合わせて内容を調整していただけたので、講義から意識が遠のくことなく、受講することができた。
講義内容は、ネットの情報や本だけでは得られないリアルなストーリーだらけであった。
その中で、特に印象に残ったことが、
30年前は何もなかった地域に突如として、街ができ、ビルが建ち、地下鉄が通った。その地下鉄は、猛烈なスピードで広がっている。日本の高度経済成長期でもそこまで急激に広がらなかっただろう。
“街の元気度は、ルーメンで測る。それでいえば、深圳は世界有数の元気な街だ。”
実際の住む、高須先生ならではの言葉だと思う。
急速に立ち上がった街が、街として体をなし、光り輝く構想ビルが立ち並んでいる街の姿を垣間みることができた。

秋葉原よりも巨大でディープなメイカーの街。メイカー愛に溢れる高須先生の言葉からは、より魅力的な街に聞こえてきた。
ITだけでなく、実際のモノとしてのプロダクトをつくるメイカー達。
猛烈なスピードでコピーの域を越えている・越えようとしているそこにいる人たちのスキル。
それらを証明するようなyoutubeを閲覧し、それらの画像は圧巻であった。
“想像以上”
深圳のリアルな話は、この言葉が合う。

高須先生の集中講義の熱に冷めぬまま、スタティツアーで深圳へ。
このスタディツアーは、結論をいうととても有意義なスタディツアーとなった。

メンバーは、牧ゼミ、淺羽ゼミが参加し、日本国籍以外の参加者も多数となり、多様性のあるメンバーとなった。
高須先生と相談しながら、魅力的なスケジュールを作成できた。さらに、ゼミの中国からの留学生の様々な力によって、準備は万端。
いざ、深圳へのスタディツアーへ。

2019年3月、深圳へのスタディツアー。
念願の深圳へ。

<街並み>
深圳の新しい地下鉄から地上にでて、思わずでてきた言葉、“でかい”。
道路も、広場も広く、何より建物が高い。
日本では見ることは滅多にない高さの建物が数多く並んでいる。
日本人が見れば、ついつい、地震の心配をしたくなってしまう高さだ。

さらに驚きなのが、
この高さの建物が、夜になると壁面いっぱいに光っている。
しかも、広告として。

使えるものは使う、商人としての意気込みを感じとってしまった。
そこまでのアグレッシブさを、わたしは、持っていただろうか?
否、全く足りていなかったのではないか。

~壁面がすべて光る高層ビル~
<ファーチャンペイ>
深圳といえばで、一番にあがる場所がここ、華強北路(ファーチャンペイ)。
秋葉原の何倍あるのだろうか。
デパート並みのビルが何棟も集まり、それぞれが特徴をもっている。
秋葉原でも見ないような、様々なサイズのネジ類、LED類、パーツ類といった部品達。そんな部品だけのフロアが何階も連なっている。メイカー達には、テンションが上がる場所であることは間違いないだろう。10代?と思える男の子がリアルタイム翻訳機を使って、声をかけてきた。

“どんなものを探していますか?”

英語で話しかけるわけでも、日本語で話しかけるわけでもなく、翻訳機を使っている。デジタルデバイスを使うことが当たり前で、使うことに躊躇がない。
きっとこれからも、新しいものも、どんどん取り入れていくのだろう。

スタディツアーメンバーでざっくり回った後に、一旦、解散。
それぞれのファーチャンペイでの面白いものを見つけてくること。
仲間と一緒にいったからできる試みである。

再度集合すると、ドローンに、おかしなメガネ、実用的にスマフォの画面の張り替えなど、それぞれの興味関心の違いを知れて、面白い探索となった。                         ~ファーチャンペイの代表的な建物内~

<人>
深圳の地下鉄の中で見渡すと、妙な違和感を感じた。
車両は新しく、デジタル広告もあり、東京にもありそうな形であるが、何かが違う。
この違和感は、深圳をでて、香港の地下鉄に乗った時に気づいた。
“深圳にいる人たちは、若い”
高須先生の講義の中でも、テーマとしてあがっていた若い街、深圳。

そんな若い街のなかで、高須先生オーガナイズのビアパーティに参加することができた。
深圳の有名なメイカーや、日本から同じ時期にきていた様々なメイカーズ、深圳在住の日本人など、高須先生のつながりがあるからオーガナイズできるビアパーティにて、いろんな話を聞くことができた。
深圳がどれだけ急激に変化しているか、そこに対してビジネススクール生として何ができるか。

<企業>
このスタディツアーにおいて、いくつかの企業を訪問する機会を得た。
高須先生と一緒に訪問させていただいたIoTのスタートアップ企業。
中国、インド、U.S.といった国際色豊かな企業であり、また、ブランチオフィスは、中国国内だけでなく、U.S.にあるなど、始まった当初からグローバルであった。人数や規模でなくとも、プロダクトとモデルがあれば、グローバルで戦えることができる、そんなことを感じることができた。
また、スタディツアーメンバーがオーガナイズしてくれたTENCENT訪問。
深圳の新興地域のなかでもひときわ目立つビルである。
自動掃除ロボットが動いている受付に近未来感を感じた。さまざまなジャンルのサービスを展開していて、ゲーム機からクラウドサービス、ペイメント、行政サービスアプリまで、その勢いを感じた。

JENISIS訪問および工場見学。ファーチャンペイで様々な部品を見たが、その中で最適な部品を集めて、実際に一つのプロダクトにする現場を見学する機会を得られた。工場は、想像以上に近代的で、精密機械を扱うにあったって、異物混入等への最新の注意がしはらわれていた。建物内と古い中国ぽさの残る建物外のギャップがとても大きい。この経験から、Made In Chinaの認識が、変わりつつある。

スタディツアーだからこそ、訪問することができ、ゼミ仲間と一緒だったからこそ、いろいろな振り返りを得ることができた。

ゼミのスタディツアーとして、深圳を巡ることによって、
さまざまな場所や、企業に訪問することができた。
ただ単に深圳を訪れるだけでは得られなかった、経験と
仲間からの知見を得ることができた。

そして、個人的に改めて思った。
柔軟で、スピードが早い。
自分の常識が常識でなく
気づきも学べることも多い街。
行く前の“想像以上”が、深圳の街であった。

深圳が気になっている人に伝えたい。
ぜひ、行ってみて。訪問者への環境は揃っている(英語は通じないほうが多いけど)。そしてできれば、仲間と一緒に探索し、企業も訪問できれば、より深く深圳を知ることができるだろう。
街は急速に変化している。
そこではきっと、わたしが見つけたものとは別な新しい何かを見つけられるだろう。

最後に、
今回のスタディツアーは、授業で見て・聞いてだけでなく、実際に現地にいくことで、触れて・感じることができた素晴らしいものでした。私たちの学びに尽力くださった高須先生、このような機会を作ってくださった牧先生、淺羽先生、本当にありがとうございました。そして、最大限のおもてなしのこころで、いろいろとツアーのアレンジをしてくれたHaijing、Morgan、Helen,、本当にありがとう。3人のアシストがあったから本当に楽しめました。また、一緒にスタディツアー参加し、さまざまな体験をシェアできるメンバーがいてくれたからこそ、より深く得ることができました。ありがとうございました。


次回の更新は10月4日(金)に行います。