[ STE Relay Column : Narratives 050]
林 元輝「理系大学生としてプロジェクトにかかわって」

林 元輝 / 早稲田大学 先端理工学部応用物理学科3年 

[プロフィール]長野県出身。現在、早稲田大学先進理工学部応用物理学科3年。2018年12月から、牧先生が代表をつとめる「スターサイエンティストとアントレプレナーシップ」プロジェクトにRAとして参加。主にデータセットの作成や分析業務に携わっている。趣味はサッカーと山登り。

こんにちは。早稲田大学先進理工学部3年の林元輝と申します。大学では応用物理を勉強しており、「スターサイエンティストとアントレプレナーシップ」プロジェクトにはRAとして関わらせていただいています。RAとして働き始めたのは大学1年の12月。いま1年半が経とうとしており、これまでに仕事を通じて多くのことを学ばせていただきました。今回はこれまでの振り返りの意味も込めて、このRelay Columnの執筆をさせていただきます。

1 きっかけ

2017年に大学に入学して応用物理学科に所属し、将来は研究者や技術者になりたいと漠然と考えていました(現在もそのような希望は変わらない)が、昨今のAIブームと言いますか、これからはデータサイエンスの素養が求められると薄々感じ始め、また自分自身、データ分析に単純に興味があったことから、データ分析を学べるアルバイトを探していました。そんな中、大学内で牧先生の研究室からRAの募集があったので、すぐに応募し、このプロジェクトにRAとしてかわらせていただくことになりました。
 仕事内容は、基本的にはデータセットの作成と分析です。しかし当初はデータ分析関連のスキルは皆無で、エクセルすら上手く扱えない有様でした。特にデータセットの作成がとても非効率で苦労しました。だからといって、先生方から手とり足とり教えていただける訳ではなく、いかに作業を効率化させるかを主体的に考え、学ぶことが求められました。
 RAになって最初の研究会後の懇親会で、牧先生から「現状のスキルが足りなくても、とりあえず仕事を引き受けて、後からスキルが追いついていけば良い。」のような趣旨のお言葉をいただきました。この言葉は当時の自分にとっては新鮮でした。なぜなら、私は元来臆病で慎重な性格で、物事に挑戦する前にはいつも完璧な準備を求めようとしていたからです。最初から100を求めようとしても、そもそも何が100(ゴール)なのか分かっていないが故に、成果が出ず勉強も進まずの悪循環でした。しかし牧先生の言葉をこのプロジェクト内外で実践すると、確実に存在する「仕事の期限」を前に自分が何をしなければならないか、そのために何を勉強しなければならないかを強制的に考えなければならなくなり、それが自分の成長スピードを早めることにつながりました。まずチャレンジすることの大切さを学ぶことができたと思います。今でも牧先生のこの言葉を、臆病な自分への戒めにしています。

2 理系大学生としてこのプロジェクトを眺める。

 牧先生は早稲田大学ビジネススクールの先生であり、研究分野も一見すると理系の私が大学で学んでいる内容と異なりますが、「スターサイエンティストとアントレプレナーシップ」プロジェクトは大学の理系の研究者自体を研究対象にしているが故に、私自身、非常に興味を持って取り組んでいます。具体的にこのプロジェクトでは、国や研究機関におけるスターサイエンティストの数がどう変遷してきたか、スターサイエンティスト達がどのように産業界に影響を与えてるのか、定量的に調べています。将来研究開発に携わりたいと考えている私は、もちろんいつかスターサイエンティストになりたいと思っていますし、研究成果を上手く社会に還元したいと考えています。ですので、このプロジェクトの研究テーマ自体が自分事のように感じられます。仕事をする中で、何か新しいことが示唆された時は、「では、自分はどうすれば良いのか?」といつも考えてしまいます。また、このコミュニティにいると、アカデミアの研究者の方やメーカー等で働いている方と関わることができ、研究開発の実情など大学で勉強しているだけでは分からないことを知ることができて非常にためになっています。そういった意味で、日々貴重な経験をさせていただいています。

3 多くの先生方と関わって

 本プロジェクトを通じて、牧先生をはじめ多くの素晴らしい先生方とお会いすることができました。普段は気さくな先生方でも、研究会などの場では深く鋭い議論をたたかわせている様子に、大げさですが、毎度感銘を受けています。その場にいるだけでも刺激になりますし、そういう議論にもコミットできればと思っています。
 また現在、直接仕事上のやりとりをしている東工大修士2年の菅井さんには、仕事を行う上でのスキルや、仕事の進め方など多くのことを学ばせていただいています。
 この1年半は多くの方々から学ぶことばかりでした。とても良い経験をさせていただきましたが、逆に自分がこのプロジェクトに何か還元できたのか、もっと役に立たねば、と思うようにもなりました。データの取り扱いに長けているRA菅井さんが今年で大学を卒業してしまう今、やはりデータ整理や分析等の技術面からもっとコミットしていきたいと考えています。そうしてスターサイエンティストプロジェクトとしての成果に貢献したいですし、逆にそのような成果や示唆が、理系大学生の自分に与える影響は大きいと思います。自分の中でこのような好循環を生み出していきたいです。


次回の更新は7月19日(金)に行います。