花田 璃久 / 慶應義塾湘南藤沢高等部
1. 初めに
僕が牧さんと知り合ったのは僕が通う慶應義塾湘南藤沢高等部の特色の一つであるゆとりの授業でした。彼は「(必修)授業では教わらない、世界の社会的課題を解決していくために、今高校生が学ぶべきこと」というテーマのもと、全8回にわたって僕たちの好奇心を刺激する授業を展開してくれました。このテーマもそうですが、日々学校という狭い単位で生活している僕たちにとって牧さんの提供する課題はとても新鮮で、日々活発な議論が起こっていました。また、このゆとりの授業が終わった後に彼の研究室に招いてもらい、ビジネススクールで行っている研究の一端に触れることができました。今回はこの二つの経験から僕が得たものについて紹介したいと思います。
2. ゆとりの授業について
アントレプレナーシップやデザイン思考など学校では普段扱わない考え方について授業を展開してくれた牧さんですが、その中でも最も心に残っている言葉があります。それは、「リスクを取らないことがリスクになる」という言葉です。これは彼がアントレプレナーシップについて語る際に用いていたものなのですが、僕がある起業家の講演に行った際にも同じことが話されていました。その起業家はある決断を下した際に、1000万円の損失は出たけども、1億円のリターンがあるとわかっていたからリスクを取らないことが損だったと言っていたのです。その瞬間に僕が牧さんから学んだことがすべてつながり、何か心地よい感覚に包まれました。そして、牧さんが僕たちに数か月にわたって訴えかけていたことの意味が分かったのです。それは、僕たちの物事に対する感度を深めてくれていたということです。この出来事を例にとっても、牧さんから学んだことがなければただの起業家の経験談として聞き流していたことだと思います。でも、彼の授業があったからこそ、アントレプレナーシップという概念が真っ先に頭に上ってきて、その講演をアントレプレナーシップの観点から深く理解することができたのです。このような「気づき」を僕たちに与えてくれた牧さんの授業はこれからもたびたび思い返されるものになると思いますし、それは共に授業を受けた40人余りの同級生についても同様だと思います。
3. ビジネススクール見学について
前述したように、ゆとり終了後に早稲田ビジネススクールで牧さんが持たれている授業に参加する機会がありました。そのセッションでは社会人の方々の研究に関するプレゼンを聞き、質問を交えながらその有用性などを評価したのですが、僕がこの過程で学んだことの一つに幅広い分野にアンテナを立てることの重要性というものがあります。牧さんの持たれているクラスには様々な分野で活躍されている方々がいて、製薬業界の話を聞いた後にブロックチェーンに関するプレゼンを聞くというような経験をしました。そして、プレゼンを聞いていざ質問をしようという時に、前提知識を持っている分野とそうではない分野において質問の質が大きく異なってしまったのです。この経験からこれからはどんな分野でも苦手意識を持たずに学んでいきたいと感じましたし、そういった意味では学校で培っている学びの姿勢は生涯学習の手助けになると感じました。また、全体的に社会人の方々のプレゼンの質はとても高くて、高校生にもわかりやすい流れを常に意識してくれていたように思います。社会人による研究というのは今までに触れたことがなかっただけに、自分の視野を広げる素晴らしい経験になりました。
4. 最後に
今まで牧さんによる授業、そしてビジネススクールでのセッションを通じて新しい世界に飛び込む大切さを学びました。牧さんは基本的にチャンスを提示するだけで、そこに参加する判断は個人に委ねます。ただ、挑戦を望んだものには手厚いサポートをして成長を約束してくれるのです。僕はこれからもこうして得た学びを胸に、ビジネススクールの授業に参加するような機会があれば飛び込んでいきたいと思っていますし、牧さんのコミュニティーにも積極的に参加していきたいと思っています。また、僕はデータサイエンスやコンサルティングに関心があるので、業界に携わる方の知見なども得ていきたいと思います。そして、これらのことに対して、高校生だからこれはできないなどと自分に限界を定めるのではなく、常に成長していくことを目標に頑張ります。
次回の更新は11月16日(金)に行います。武田薬品工業株式会社グローバルファイナンスの冨田 直輝さんによる「キャリアの新結合を目指して」です。